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小野不由美.『丕緒の鳥』.新潮社,2013.7

丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫)丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫)
(2013/06/26)
小野 不由美

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十二国記シリーズの最新刊。

短編集です。
4編入っています。

十二国の末端の普通の人たちが主人公です。
国政とかそういうのとは
遠い世界で日々を送っている人たちの視点です。



『丕緒の鳥』
今回の4編の中で一番好きです。

ひしょのとり・・・と読みます。

慶国の王が立ち

陶器の鳥を射落とすという
国を挙げての儀式が行われます。


その陶器の鳥を作成する部署の責任者が
丕緒(ひしょ)。

彼は
どんな鳥を作るのか
考えます。

色は?形は?
割れた時の音は?
割れた後はどうなるといい?

考えながらも
過去の王によって排除されたり殺されたりした
仲間を思い
今の弟子たちを思い
未来を願います。



儀式終了後
新王によばれ
御簾越しに声をかけられたところでは
思わず涙してしまいました。


引退を考えていたのに
次の陶器の鳥のイメージを思い描く彼。



この物語の先も読んでみたいような
王の側からの物語・・・なぜ、直接話をしたのか・・・なんてあたりの物語も
読んでみたいような気がします。



『落照の獄』
柳という国。
司法をつかさどる役職の男性が主人公。

国が傾きかけている。

今までなら
王が死刑を禁じていたのだが
司法をつかさどる役職についている瑛康に一任するという。

残虐な犯人に
民衆は死刑をもとめている。

死刑を宣告するということは
人殺しと同じではないか
極刑には犯罪抑止力はない・・・
実際に刑を執行する人の気持ちは・・・
などなど
様々な議論がなされます。

最後の判定は
やっぱりこうしかなかったんだろうけど
この先の柳国の傾きを
一介の司法官では止められないという
悲しみも感じることができて
余韻を残します。


『青条の蘭』
慶国の田舎の山の中の出来事からスタート。
木が不思議な枯れ方をしていて
病気だとわかるものの
対処法を探して苦労します。

山を守るお役目の末端の役人が主人公。

何年かかけて
山枯れの危険性の訴えと
見つけた対処法とを
国の上層部に知らせようとするものの
腐敗している国家では
逆にとらえられそうになってしまう。

こうなったら
自分で新王に届けて
王に薬の実が全国にある里木という木に
実るように祈ってもらうしかない・・・と思い
自身の身を顧みずに
薬の苗の根づいている木を背負って
国の中心を目指します。

途中、助けてくれる人もいて
彼の熱意を助けようとする
普通の人たちがいて・・・・・。



やっぱりこの物語も
この後の慶の国がどうなったのか
王のもとへちゃんと届いたのか
物語の続きが読んでみたいです。



『風信』
慶の国の前王時代の末期。
女性は子どもといえども
国をでるように言われていたものの
かくまわれていた少女・蓮花。

ある日、空から
兵士に矢を放たれ
目の前で
母と妹が
地面の下へかくまわれたあと
出てきてみると
父も祖父も家も町もすべてを破壊されつくした後だった。

やむを得ず
国を出る人たちとともに
国境を目指す。


国境近くに来たとき
女性をしいたげていた王が崩御したと聞き
国を出る必要がなくなるものの
行先もない状態になる。

運よく仕事と住まいを提供されたところは
暦を作っているという役所で
自然や気候を観察してばかりいる
浮世離れした人たちの住まいだった。


そこでの生活と
彼女の心の葛藤や成長。


蓮花がもうちょっと大きくなって
慶国も安定して
彼女はどうなっていくのか
そんな物語も読んでみたいと思いました。




評価
面白さ 5
お勧め度 すでにシリーズを読んでいるのなら 5
再読度  4


末端から見た短篇もいいんだけど
やっぱり
陽子のその後とか
戴(たい)国のその後とか
そういうのが読みたいなぁ・・・。

次は長編が出るという予告はでているので
そういう物語を期待したいです。

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2013/08/17 21:44 |   小野不由美COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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